大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 昭和28年(う)912号 判決

被告人三亀化成株式会社及び同高宮隆平の弁護人Aの控訴趣意第二点について。

(イ) 昭和二四年法律第二八六号を以て改正せられた物品税法第一八条第二項は同条第一項第二号の場合のみならず同第一号の場合にもひとしく適用せらるべきものであることは右第二項が「前項ノ犯罪ニ係ル物品」と規定してその第一、二号を区別していないこと(なお右改正前の本条該当法条たる第一七条の三参照)に徴しておのずから明らかである。所論は物品税が製造場より移出せられた物品の価格又は数量に応じて徴収せられる旨規定した同法第四条を根拠として無申告製造完了の際に発覚した場合には未だ移出なく物品税の算定が不能であることを理由として同法第一八条第一項第一号違反の場合には同条第二項を適用すべきでないと主張するけれども、同第二項は「前項ノ犯罪ニ係ル物品に対する物品税相当額」と規定しており右物品が移出されたならば課せらるべき物品税を基準とする趣旨であるから、同項を適用するには敢て現実に移出されたことを要するものではない。従つて、被告人の無申告製造にかかるズルチンに対する物品税相当額の一〇倍が五〇万円を超えるものとして右一〇倍の額以下の罰金を科した原判決には所論のような法令適用の違背ありということができない。

(ロ)昭和一五年法律第四〇号を以て制定された物品税法はその後屡次の改正を経たものであつて、本件犯行に近接する時期においても昭和二四年四月三〇日法律第四三号(同年五月一日施行)同年一二月二七日法律第二八六号(第一〇条第一項を除き昭和二五年一月一日施行)及び昭和二五年三月二九日法律第四〇号(昭和二六年一月一日施行)によつて改正せられ、それぞれその施行前の行為に対する罰則の適用についてはなお従前の例によることとなつていることは所論のとおりである。しかしながら、右の改正はいずれも一部改正であつて昭和一五年法律第四〇号物品税法の全面的な廃止又は改正ではないから、右物品税法はそれぞれの改正によつて補修されながらも依然としてその同一性を保持し同一の名称を保つているものである。さればある時点における行為が物品税法違反の犯罪を構成するというがためにはその時点までに改正生長を遂げた物品税法に触れることを判示するを以て足り、敢て所論のように個々の改正法律を挙示する必要があるということはできない。原判決がその法律理由において、昭和二四年一〇月頃から同年一一月二日頃までの行為に対し物品税法第一七条の三(昭和二四年法律第二八六号による改正前のもの)を適用するとしたのは右行為当時までの改正を経た行為時法たる昭和一五年法律第四〇号物品税法第一七条の三を適用する趣旨であり、昭和二五年一月から同年七月までの行為に対し同法第一八条(昭和二五年法律第二八六号による改正以後のもの)を適用するとしたのは、右行為当時までの改正を経た昭和一五年法律第四〇号物品税法第一八条を適用する趣旨であることは極めて明らかであるから、原判決には所論のように適用法律を示さない違法があるということができない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!